あと、そう言えば “ これがダメ押し ” みたいな感じで「こちらは仕事で毎日のように通い慣れた道ですので、信号のタイミングはよく分かっているんですよ。」みたいな事も仰っておられましたか。
・・・これはもう、はっきりと申しまして逆効果と言いますか、私に言わせれば完全に墓穴を掘ってしまっています。
申し訳ないが、人間の心理と言うものが何も分かっておられないようです。
人は “ 慣れ ” が1番怖いのです。
「自分は慣れているから大丈夫。」という思い込みが心に隙を生み、ミスを生じさせます。
何事も “ 常にゆとりと緊張感を持って ” です。
「仕事で毎日のように通い慣れている自分の方が、よく分かっているのだから、間違えたりする事は無いのだ。」という思い込みこそが、この方のミスの原因です。
そして、こういう類の主張をする。という事こそが、今回の件の「真因(しんいん)」と言えます。
詰まる所、最初の嘘が雪だるま式に膨れ上がって、引くに引けなくなってしまっている。という事なのでしょう。
これ以上、当事者同士でやり取りをしていても一向に着地点が見えてこない様なので、意を決して警察署の交通課へと「診断書」を持参致しました・・・
「あの~すみません。2月15日に○○の交差点で事故に遭った者ですが・・・」
毎年、秋祭りにはお神輿が町内を練り歩くので、道路使用許可証というものを申請します。
ですので、警察署の交通課には多少慣れております。
この時は、少し若いの警察官の方が対応して下さいました。
「はい。事故に遭われたご本人の方でしょうか。」
「えぇ、そうです。 今日でちょうど2週間になるのですが・・その後、何か進展が無いかなぁと思いまして。」
「あぁ、そうですか。・・では、何かご身分を証明できる物はございますか。」
運転免許証を提示し、
「ちょっと、お預かりします。お調べしますのでお待ち下さい。」と資料などが整理された棚の方へ入って行かれました。
すると、ほどなくして別の方と2人で戻って来られました。もう1人の方は一回りほど年配で、上司といった感じです。
「ご本人さんですね。・・・それじゃあ、ちょっと奥の方へ入って来て頂けますか。」
通されたのは、待合室などに置かれている様なソファーがある一角。
「どうぞ、そちらへお掛け下さい。」
「・・・今日は診断書を提出しに?」
「えぇ、そうですね。・・お互いが青信号を主張していて平行線というか、ちょっともう話が前に進まなくなってしまいまして。」
「確証できるものは無いとは言われているのですが、出来る限りの事はやっておきたくてですね。」
「なるほど。 では、こちらの診断書を提出されますと、今後どのようになって行くのかはご存知ですか?」
「・・・そうですね。人身事故へと切り替われば、より詳しくお互いが実況見分とか、警察の方でちゃんとした信号のタイミングなどを計って行く事になるんでしょうか。まぁ、それでも解決に至らなければ最悪、弁護士をたてて裁判?という事になるんでしょうかね。」
「・・・そうですね。裁判という事になりますと、必ずどちらかに決着が着きます。そうなれば当然、非が認められた方には刑事罰が下る事になります。」
「そこはご理解頂けているんですね。」
少しの間があり、手に持っていた資料に目を落として、暫くしてから。
「ご本人さんという事なので言いますが・・・実は警察は、あの後で映像を入手しております・・・。」
「どの場所での、どの角度からの映像かはお教え出来ませんが、事故の映像は入手しております。瞬間の信号の色まで確認は出来ています。」
(はい、来たコレ! えっ、マジか。)・・・なぜか急に緊張してきました。
自身はあるものの、決定づけられる揺るぎない証拠が急にあった。となると、もし万が一にも「あなたの方が赤信号でしたよ。」と言われたらどうしよう💦と不安になってしまいます。
「え?あぁ、そうなんですか。」とちょっと間の抜けたような返事になってしまいました。
しかも結論を言ってくれずにもったいぶるので、しょうがなくこちらから「えっと、それで、どちら側が青信号だったんですかね?」と恐る恐る聞いてみます。
「・・・うん。まぁ、私が直接その映像を確認したわけじゃあないんですがね。」
「・・・あなたの方が有利な結果になるんじゃあないですかね。」
(何?その、断定はしきらない。みたいな言い方?)
「はぁ・・・」 え?どういう事?みたいな顔をしていると、
「あなたが主張されている通りの結果だった。と思って頂いて宜しいかと思いますよ。」
「・・・という事は、こっちの方が青ですか。」
「そういうことになりますね。」
(いや、ちょっと、緊張させんといてーよ。)
(・・・ほらぁ、やっぱりこっちが青じゃん。)
(よう映像が見つかったな・・・警察すご!)
・・・やはり、お天道様は見ておられたのです。
人を偽り・騙す事は出来るかもしれませんが、お天道様と自分自身には決して嘘はつけない、偽ることはできないのです。
因果応報。
過去の過ちは、必ず結果として還って来ます。
それにしても、「糺咎顕真」の祝詞をお申し上げしてから、わずか数日でのこの結果。
神様が誓いをお認めになられ、願いを聞き入れて下さったのでしょうか・・・それは分かりませんが、神主としては神様にお力を頂いた。
正しい道へとお導き下さった。と信じております。
『神主の体験』その⑪ ~ 魂を磨け! ~ へと続きます・・・
続きを読む 『神主の体験』その⑩ ~ お天道様は見ている ~